文房具店の試し書きコーナーに大喜利のお題を書いたらおもしろい答えが集まるのか?
文房具店の試し書きコーナーって、見てて飽きないですよね。
ペンションの利用者ノートを読んでいるような、人がこっそりつけている日記を盗み読みしているような、SNSが主流の今日にそんなアナログな感覚があります。
もはや芸術。
ジャクソン・ポロックの作品にそっくりじゃないですか。
子どもからいい歳した大人までが文字、絵、グシャグシャの記号などを書き殴る場所が試し書きコーナー。
僕はこれに疑問が浮かびました。それがこちら。
【文房具店の試し書きコーナーに大喜利のお題を書いたら おもしろい答えが集まるのか?】ということ。
この疑問は、実は10年くらい前から頭の中にはあったのですが、なかなか現実化には至っていませんでした。なぜならこんなバカバカしいことに時間を費やすことが面倒臭かったから。
ですがこのたび、それをついに検証に移したいと思います。
私の年末年始の孤独な戦いの記録です。
1日目
“1日目”という見出しを見てギョッとされた方には申し訳ありませんが、何日にもわたって検証しています。長いです。
そんな検証初日は近所にある某イオンモール内の文房具店に参上。
ありました。
ここに大喜利のお題を書きたいと思います。
この日はクリスマス直前。ということでお題はこちら。
「こんなクリスマスはいやだ!どんなの?」です。
考えやすいようなお題にしました。
解答欄も書くことで、ただの落書きだと思われないように工夫。
これで木に塗ったハチミツにカブトムシが集まるように、オモシロ解答がウジャウジャになるでしょう。楽しみですね。
とりあえず、1時間放置します。
文房具店を離れ、本屋で立ち読みしたり、買う気もない寝具売り場をウロウロしたり、ベンチを見つけてずっと座っていたり、隣におばさんが座ってきて独り言を言っていたり。
そして1時間経過。
答えという名のカブトムシを採りに行きましょう。
ドキドキ…
あれ?
書かれてない。
もちろん同じ写真ではなく、きちんと1時間経過したときの写真です。
えー。
まあそうか。
そうだよな。
えー…
う〜ん。
長い戦いになりそうだな…
そんな念がぽっと心に芽生えました。
ですが、せっかく踏み出した企画なので、おもしろい答えが書かれるまでやめるわけにはいかない。
やめるわけにはいかないんだ…。
凹んだ心をなんとか鼓舞しつつ、この日はこれで終わり。
翌日
銀座にやって来ました。
何を隠そう、この日は12月24日。
聖なる検証2日目であります。
銀座の文房具店といえばこちら。
伊東屋にやってまいりました。
日曜日ということもあり、メチャメチャ人が多い。伊東屋の店内も人でごった返しており、試し書きの紙に大喜利のお題を書いているなんて行為が恥ずかしくてたまらない。
かといって商品を買うわけでもなく、店内をウロウロ徘徊しているのも万引き犯だと思われそうだし。嫌な時間。なぜこんなことをしているんだ俺は。
1階の筆ペン売り場で、試し書き用紙を発見。
人がいないタイミングを狙って、
お題と解答欄を記入。
こそこそ素早く書いたので殴り書きになってしまった。
っていうか、普通に考えてこんなの書いてくれる訳がないだろ。なんだ、試し書きコーナーに大喜利のお題書くって。試し書きをする場だろ。
と、自分が考えた企画で勝手に苦しみながらもなんとかおもしろい答えが来ることを祈る。
とりあえず、前回と同じく1時間待ってみます。
店外に出て、他に文房具店がないかを探すため、クリスマスイブの銀座を一人で徘徊。
このとき18時くらい。
すっかり外は真っ暗であります。
これ、光るんですね。
ところで、銀座は意外と文房具店がないです。
やっぱり伊東屋の一強なのかな。
とか思いながら銀ブラならぬ銀徘徊をしていたらLoftを発見。
入店。
よかった。ペン売り場に大量の試し書きコーナーがありました。
1箇所だけだと心配なので、多数の試し書きコーナーでお題を書いて確率を上げたいと思います。手法としては定置網漁と同じ。定置網ならぬ、定置お題。
てなわけで、こちらにも定置お題を設置。
お題はやはり「こんなクリスマスはイヤだ!どんなの?」。
解答欄を矢印で誘導したら書いてもらえるかも。と思って書いてみた。
Loftにもう一箇所。
お題は変えまして、「アホアホサンタ。どんなの?」。
Loftの店内には店員がたくさんいて、「お客様、大喜利のお題をお書きになるのはちょっと…」と腕を掴まれて事務所まで連れて行かれるかと思ってオドオドしてしまいました。
オドオドしているうちにとんでもない違法行為をしている気分になり、なんでこんなことで勝手にスリルを味わって緊張してるんだと、じんわり汗をかきながら辟易とした。
Loftに仕掛けたところで、ちょうど最初の伊東屋から1時間経過した頃。
ようすを見に行きましょう。
ドキドキ…
何も書かれていない。
枠が解答欄に見えないのでしょうか。
お題が他の落書きに埋もれて、お題に見えないのでしょうか。
Loftのほうも見に来ました。
シャーッって線引かれてる。
こちらもそのまんまでした。
素直に残念。
ここらで銀座を離れます。
オードリーがパーソナリティを務める『ラジオ・チャリティ・ミュージックソン』の公開放送を見に行くため、有楽町のニッポン放送にやって来ました。
東京ホテイソンやラブレターズのネタを見たあと公開放送の見学をしたので、ニッポン放送を出たのは20時ごろ。
楽しかった。
このまま帰ろうかと思ったけど、気になったのでこれの確認のためだけに再び銀座へ戻ってみることに。
自分でもなぜここまでするのかわからない。
伊東屋に戻ってきました。
おっ…!人がいるぞ!書いてるかも!
ドキドキ…
「あけましておめでとう」と書かれていた。
いや、待てよ。
これは答えなのではないか?
クリスマスにあけましておめでとうって言われるのは嫌だぞ。
…そんなわけないか。
これはノーカンでいきます。
すっかり夜になりました。
21時前。
Loftが21時で閉まるそうなので、急いで見に行ってみます。
ドキドキ…
特に変化なし。
Roll?man?なんだこれは。読めない。
あと、
枠内にパステル ピンク ピンクって書いてあるなぁと思ったけど、
よく見たらお題書いた時点で既に書いてありますね。
コソコソ書きすぎて気付かなかった。
アホアホサンタの方も空欄のまま。
今日は釣果なし。帰りましょう。
帰り道に落ちてたサンタ帽を見て、今日がイブであることを思い出した。
もうやりたくない
翌々日、12月26日。翌メリー。
さて、まだ答えをもらっていないので、まだ検証を終わらせるわけにはいきません。
何度も書くが、なぜここまでやるのかは自分でもわからない。
場所を変え、新宿へ。
新宿の文具店といえばここ、世界堂にやってまいりました。
みなさんご存知でしたか。
世界堂に置いてある試し書き用のメモは、本当に試し書き専用のメモでした。
さすが、衝撃の品揃えを誇る世界堂ですね。
私も大学時代よく行っておりました。
それではここにお題を書いてみましょう。
「12月26日、サンタさんは何をしていますか?」
ただの落書きだと思われないように、思い切って「世界堂大喜利」とタイトルを書いてみた。
これで答え書かれる率は相当上がるだろう。
定置お題は多いほうがいい。1階にもう一箇所、2階に一箇所設置。
サラッと書いてるように見えますがそこそこの客、結構な狭さの中でコソコソ書いていますからね。
だが今回は客が多いゆえ、書かれるような気がするぞ。
時間を潰します。
2時間経過。
時刻は16時半。ちょっと薄暗くなってきました。
この2時間の間でディスクユニオンをウロウロしたり、紀伊國屋書店で立ち読みをしたり、サブウェイでてり焼きチキンサンドを食ったりしていたのですが、
サブウェイにいたら企画のことを忘れ、すっかり帰る思考になっていて、新宿駅に向かっている途中で世界堂に行かねばならないことを思い出し、
「なんでこんなことしなきゃいけないんだよ」と普通にイラッとしてしまった。
てなわけで渋々、定置お題の回収にまいります。
しかしこの瞬間は、不覚にもドキドキしてしまう。
ドキドキ…
グシャグシャにされていた。
私物に「バカ」とか「死ね」とか書かれるイジメに遭ったみたいで、なんだろう、素直にすごく悲しくなった。
ひどいよ…。
特にこの辺りなんか戦争に関する記述を黒く塗りつぶした戦後の教科書みたい。
サンタ嫌いだったのかな。
ちょっと凹みましたが、残り二箇所も見に行きましょう。
二箇所目を見てみると、メモが裏返されていました。
ひっくり返すとまたグシャグシャ。
人の心がないのでしょうか。
心折れつつも、2階の定置お題をチェック。
あれ?
ない。
「お題は!?お題がない!僕のお題はどこ!?」と、
泣きべそをかいて母親を探す迷子の子供状態になって辺りを見渡すと、
下の段に移動してました。よかった、あった…。
そして同じくグシャグシャ。
この場所がコピック売り場だったため、期せずしてアーティスティックな仕上がりに。芸術は爆発だ。
ただシンプルに嫌な思いをしただけの一日。
なぜこんなことをしなくてはいけないのでしょうか
別日。マジでもうやりたくないんですが。
年の瀬。
検証、やりますか。
いや、やりたくないですよ。やりたくないけどやらなきゃオチが付かないんだもん。
ここに書きましょう。
お題は「あけましておめでとう」に変わる新しい新年の挨拶とは?です。
もう一箇所。東急ハンズにも定置お題を設置しました。
余談ですがこの二箇所の定置お題が1kmちょい離れていたため、わざわざ何度も往復する羽目に。
羽目に。というか自分でやっているのだけど。
もっと言うとやらなくてもいいんだけど。
書かれなかったらビフォーもアフターも全く同じ写真ですからね。
もっと言うと自分で答えを書いちゃえば、いくらでも捏造もヤラセもできるのですが。なぜこんなガチで検証しているのかがわからない。正直者か、俺は。
見に行きましょう。 まずはこちらの定置お題から。
ドキドキ…
何もなし。
…。
気を取り直して30分かけて歩き、ハンズのほうも見に来ました。
こんなに苦労して来たのだから書いてあってほしい。
ドキドキ…
ただの徒労。
まだこちらのほうが客足が多かったのでいけるかもと思っていたのですが、がっかりです。
別日ですが、
雪が降って、ちょっと積もったのでお題を書いてみました。
まあ当然こうなのですが、
逆にここに答えが書いてあったら超怖いので、書かれていなくてよかった。
年が明けて
あけましておめでとうございます。
もう「誰も答え書いてくれませんでした〜!」みたいなオチつけて終わらせようと思ったんだけど、それは腑に落ちないので、
ヤバイ客のブラックリストに入っていないことを祈りつつ、試し書きの多さから確率がかなり高いと踏んだ銀座の伊東屋で再検証をすることに。
お題は、
「こんなボールペンはいやだ! どんなの?」です。
しかし伊東屋、相変わらずの客の数による店内人口密度の高さ。
なかなか試し書きコーナーの前から人がいなくならず、マジで万引き犯だと間違われてもおかしくないくらい挙動不審なようすでウロついてました。
どの立場から言ってんだよって感じですが、こんな思いをして書いたのだから誰か解答してほしい。
1時間待ちました。
見に行きます。
ドキドキ…
あれっ?!
マジか!!
答え、書いてあるぞ!!!
完全に諦めムードで検証していたので、度肝を抜かれた。そしてものすごく嬉しい。
なんだ、この気持ち。
好きな子からメールの返信があったときみたいな、
初めて赤ペン先生からメッセージをもらったときみたいな、
ラジオで初めて自分の投稿が読まれたときみたいな、
やったことないけどアマチュア無線で見ず知らずの相手から応答があったときみたいな、そんな感覚。
とにかくすばらしい気分。
改めて肝心の答えを見てみましょう。
ボールが正五面体。
どうですか?
ボールが、正五面体。ですって。
みなさん。
いや、
…まあ正直答えはおもしろいものではないですが、
一回「ボールが多角形」って書いて消して、書き直してるあたり、真摯に解答してくれていることが伺えて涙ちょちょ切れませんか。
今までまったく書かれずにいたのに急に書かれたもんだから、ヤラセ臭く見えるかもしれませんが、
僕が自分で書いているわけじゃなくてマジで他の誰かが書いてるんですからね。
自分でもビックリしてますから。
で、
調べてみたら正五面体という図形は存在しないことがわかりました。
そういえば、昔そんなのを習ったような気がしないでもない。
この人が正五面体が存在しないということをわかった上で答えを書いたのかは謎ですが、わかった上で書いていたとしたらなんと複雑怪奇なボケなのでしょうか。
てなわけでようやく答えが出ました。この呪縛から解放された。
どなたか存じませんがありがとうございました。
本当に。苦しい年末年始だった。
答えは出たけど
とはいえ、想定では10個ぐらい答えが集まり、そのホクホク状態の中で僕が独断でゴチャゴチャ言わんとどれが一番おもしろい答えかを決めるはずだったのですが、こんなにやって1解答しかもらえませんでした。どうしよう。
仕方がないので、このお題「こんなボールペンはイヤだ!どんなの?」に対する解答「ボールが正五面体」と、このお題で僕が考えた答えを競わせたいと思います。
その中で「ボールが正五面体」が一番おもしろいと認定されれば、この答えが優勝ということになります。何をもって優勝かはわかりませんが、そうさせてください。
紛らわせるために自分で答えを9個考え、計10個の答えをさまざまなサイトで投票してもらうことにします。
しばし放置
5日経ちました。
もうそろそろ投票が集まっている頃でしょう。
おそろしくて途中経過は一切見ていないのですが、ドキドキしますね。
合計2票。
0票。
おわりです。